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君の小説を救う3つの読解方法【現代文読解法その2】

どうも、福長塾塾長の橋本長武です。

 

今回は、「小説の読み解き方」について書いていきます。もし前回の評論の読み方を読んでいない場合はぜひ読んでください。そのほうが理解が深まります

 

【そもそも小説の読解とは】

小説の読解は、その登場人物の気持ちになり切れるかどうかということが問われています。主人公がうれしい時、悲しい時、怒ったときの心情表現を文章から読み解けるのかが焦点です。ここで重要となるのは、日本文学において、気持ちを直接的に言葉で表現することは良しとされていないということです。

I love youを文学的に和訳するとき、

〇 【月がきれいですね】
× 【あなたを愛しています】

となります。直接「君のことが好きだー!」と書くことは、文学的にはよっぽどの理由がなければ稚拙な表現となってしまうのです。

まあそのせいで学生にとっては『わかりにくい』『何がいいたいんだこいつ』『主人公を好きになれん』なんて声が上がることもしばしば。そう声が上がるのもやむなしです。だって直接言うことなしに、気づいてもらうことに価値を置く文化があるからです。

そうなってしまったのはなぜか。それは、小説は想像力を働かせることが重要だからです。主人公が感じていること、そして思っているであろうことを、読者が想像力を働かせることにより、具現化する。そうすることで、読者がワクワクするし、ドキドキするからです。想像するからこそ想像と違う結果が起こる。想像するからこそ期待された結果が得られたときに満足感が得られるのです。
最初から分かり切ったことなんて、わくわくもどきどきもしない

 

そうなると、文章を読み解くうえでのポイントとなるのは、何でしょうか?
直接心情表現を使ってはいけないという条件の中で、作者が読者に対して主人公や周囲の人々の感情を伝えるためには、テクニックが必要となります。
そのテクニックを把握することこそが、小説を読み解くうえでのポイントととなるのです。では、そのテクニックとは何か。

それは、

場面】【(登場人物の)背景】【描写

です。

 

 

【場面を読み解く】

場面はその場にいる人がいるところそのものです。家なのか、病院なのか、庭なのか、はたまた観光地なのか。場所という側面は、その”場”が登場人物に与える印象を変えるのです。
とくにわかりやすい例として、いるはずのない場所にいる人・いるべき場所にいない人などは、登場人物にとって大きな意味を与えることが多いです。

放課後、帰り道。いつもいないはずの道に好きなあの人がいた。

こんな場面は、多かれ少なかれ主人公にとっては感情を揺さぶる要因たり得ます。また、場面とはその場所だけではなく、その場の属性を含めています。家の帰り道だったり、勉強しようとしたときだったり、誰かの家に遊びに行こうとするときだったり。色んなシーンが挙げられるでしょう。

その場面の移り変わりを追うことで、登場人物の動きだったり心の変化が描かれていきます。

本当は学校に行くつもりだったけど、さぼって隣町までの小旅行に行くことを決めた瞬間。そういった時も、主人公にとっての心境の変化が起こっていますし、物語の転換点にもなりえます。

そして、感情が揺さぶられたり、変化する瞬間、それが問題の設問になっていくのです。

場面の変化を読み解くことで、主人公の心情の変化や、物語の展開を掴んでいくことが出来るでしょう。

 

【登場人物の背景】

登場人物には多かれ少なかれ、背景があります。上記の場面において、病院に来たとしましょう。その時、お見舞いに来たのか。診療してもらいに来たのか、急なケガなのか、定期的な診療なのかにより全く印象が変わるでしょう。お見舞いだってまもなく退院の人に会いに行くのか、もしくは余命いくばくもない人に会いに行くのかで180度心証が変わるでしょう。

このように登場人物がもともと持っている背景を考えることは必須です。

背景については、本文の地の文をよく読むことが重要です。登場人物がどのように考えているのか。そしてどういった行動をなぜしているのかを考えるようにしましょう。

背景により、主人公がなぜそう感じているのかの理由を読み解けるでしょう。

 

【描写】

描写には、主人公の心情がありありと表現されていることが大いにあります。場面が重要だと伝えましたが、場面がどのように描写されているのかを注意深く読んでいきましょう。芥川龍之介の小説(たしか蜃気楼だったと思います)の一説に、こんな文章があります。完コピではないので悪しからず。

行きでは道に落ちた紙屑が、まるで紙でできたバラのようだった。しかし今はどういったことだろうか。路上の紙屑は砕けた頭蓋骨にしか見えない。

この場面は、どこかへの行きと帰りでしかありません。しかし紙屑の描写の仕方だけで、登場人物が感じている心情が全く変わっているのがわかります。作者にとって、帰り道の時には精神がやんでしまっているのがわかるでしょう。実際にこの文章を読んだときは、芥川龍之介が感じるいわれようのない不安や恐怖を感じて、恐ろしさで鳥肌が立ったのを覚えています。

このように、描写には主人公の感じている心情が詰まっています。描写を読み解ければ、小説のコアとなる心情を読み解けるでしょう。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回で小説の読解が少しでもわかるようになれば幸いですが、いろいろと言いましたが、必要なことはとにかく文章を読むことです。

小説を読むことで、あなたの小説読解力が上がっていきます。是非楽しんで小説を読んでみてください

ではまた次回のブログで!

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思考を深める塾 福長塾
塾長 橋本長武/ hashimoto osamu
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