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植物は“しゃべっている”!?──植物同士の会話のしくみとは

こんにちは!福長塾の久保田です!

実は私は福島大学の食農学類という農学部が出身です!
いつかは農業やりたいなーと考えていますが、いつになるやらです!

今回は私が驚いた植物に関するテーマで書いてみました。

植物に「声」はありません。耳もありません。
でも実は──植物は周囲と“情報を伝え合って”生きているという事実をご存じですか?

「植物が会話している」なんて聞くと、どこか童話のような話に聞こえるかもしれません。
けれど、科学的な研究により、植物は匂いや根を使って“仲間に危険を伝える”という行動をとっていることがわかってきたのです。

今回は、そんな植物たちの“静かだけど賢い会話のしくみ”を、研究例や理科の知識を交えてたっぷりご紹介します。

目次

トマトが“会話する”?──植物が発する「SOS信号」の正体

例えば、トマトの葉っぱが害虫にかじられたとします。
するとトマトは、ただじっと我慢するのではなく、空気中に特殊なにおいを出します。

これは「ジャスモン酸メチル」などの**揮発性有機化合物(VOC)**と呼ばれるもので、近くにいる別のトマトに「やばい、今ここに虫が来たぞ!」と警告するための信号です。

このにおいをキャッチした別のトマトは、虫にかじられる前から苦味のある防御物質(タンニンやアルカロイド)を自動的に生成して、虫を寄せつけないように準備を始めるのです。

人間で言えば、「あの子が風邪ひいたって?じゃあマスクしておこう」みたいな反応を、トマトが“におい”で判断しているわけです。すごくないですか?

実例続々|トウモロコシもアカシアも、ちゃんと「伝えている」

植物の「におい通信」は、実はさまざまな植物で観察されています。

🔸トウモロコシの戦略
トウモロコシは、害虫にかじられると空気中に特定のにおいを放ちます。
これは「SOS信号」となり、そのにおいに引き寄せられてやってくるのは、なんと──害虫を食べてくれる“天敵の昆虫”!

つまり、**「自分を助けてくれる存在に助けを呼ぶ」**という、高度な戦略を使っているのです。

🔸アカシアの「風下注意報」
アフリカのサバンナに自生するアカシアの木は、キリンに葉っぱを食べられると「エチレンガス」というにおいを発します。
このにおいは風に乗って下流のアカシアの木々に伝わり、葉の中のタンニン(苦味成分)を急速に増やすよう“合図”を出すのです。

その結果、キリンは風下のアカシアの葉がまずくなっているのに気づき、風上に戻って別の木を食べる…という行動が確認されています。

このように、植物はにおいによる“警報システム”を活用して、お互いを守っているのです。

地中でも会話してる!?「ウッド・ワイド・ウェブ」の世界

空気中だけでなく、実は地中でも植物同士の情報伝達が行われています。
その立役者が「菌根菌(きんこんきん)」と呼ばれる菌類です。

菌根菌は植物の根に共生し、植物に水や栄養を届ける代わりに、植物から糖をもらって生きています。
ところがこの菌、複数の植物の根をネットワークのようにつなぐことができるのです。

この地下ネットワークは、「Wood Wide Web(ウッド・ワイド・ウェブ)」と呼ばれ、インターネットになぞらえた言葉として有名になりました。

研究では、

・「ある木が栄養不足になると、隣の木が養分を送る」
・「害虫の攻撃を受けた木が、地下で警告信号を出す」
といった行動が確認されています。

つまり、植物は地上でも地下でも、まるで“共同体”のように生きているというわけです。

なぜ「しゃべる」必要があるのか?

植物が情報を伝える理由は、とてもシンプルです。

それは──生き残るためです。

植物は動けません。敵から逃げることもできません。
だからこそ、いち早く危機を察知し、周囲と連携して防御するという戦略をとる必要があるのです。

さらに言えば、「自分が食べられても、仲間が助かれば“種”として残る」。
そんな種の保存的な進化戦略が、植物の“会話”行動を後押ししていると考えられています。

このような観点から見ると、植物は単なる“動かない生き物”ではなく、緻密な情報戦をくり広げる「知性を持った存在」とも言えるのかもしれません。

農業や環境への応用も進む!

この“植物の会話”は、科学の分野を超えて、農業や環境保全にも活用が進んでいます。

・害虫にやられる前に、においで予防対策を始める野菜の栽培法
・植物のストレスをにおいで検知して、水不足や病害を早期発見
・地中のネットワークを活かした農薬に頼らない持続可能な農法

こうした取り組みは、将来的に環境にやさしく、効率的な農業の実現に向けた鍵としても期待されています。

まとめ|植物は静かに、でも確かに“伝え合って”生きている

今回の内容をまとめると、こんな風になります。

・植物は空気中に揮発性のにおい(VOC)を出して、他の植物に「警告」している
・地中では菌根菌ネットワークを通じて、栄養や危険の情報を共有している
・これは種全体の生き残り戦略であり、驚くべき“植物の知恵”のひとつ
・将来的には、農業や環境対策にも活用できる技術となっている

人間には聞こえないけれど、植物たちの世界では“言葉なき会話”が交わされている。
そんな想像を持つだけで、花や木の見え方がちょっと変わるかもしれません。

私の働く福長塾では、こうした“生活や自然とつながる理科”の学びを通じて、
単なる暗記にとどまらない「考える力」を育てています。

・授業の中で「なんで?」「どうして?」を出発点にする
・雑学・科学ニュース・動画などからリアルな科学の面白さを伝える
・受験対策だけでなく、“未来の好奇心”を引き出す授業づくり

植物の世界を「本当にすごい!」と思えたあなたには、
理科をもっと楽しく学べる可能性が、きっと待っています!

よかったら一度体験しに来てくださいね!

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