【理科×雑学】宇宙では“音”が聞こえない!?──その理由と発見の歴史をひもとく
こんにちは!福長塾の久保田です!
今日は宇宙に関するお話です!楽しく読んでいただけると嬉しいです!
映画やアニメでは、宇宙船が爆発すると「ドーン!」という大きな音が響きますよね。
でも、あれは完全に“演出”です。
実際の宇宙では、爆発が起きても音はまったく聞こえません!
それどころか、宇宙には“音そのもの”が存在しないのです。
今回はその理由や発見の歴史をご紹介です!
目次
- ○ 宇宙では“どんなに大きな音”も、聞こえない
- ○ 音は“振動が空気を伝わる”ことでしか聞こえない
- ○ この事実は誰が発見したのか?
- ○ 宇宙では本当に“完全な静寂”なのか?
- ○ まとめ:音のある世界は、実は“特別”だった
宇宙では“どんなに大きな音”も、聞こえない
私たちは普段、身の回りのあらゆる「音」に囲まれて生活しています。
風の音、雨の音、車のエンジン音、鳥の鳴き声、人の話し声――。
それらはすべて、空気を伝わって耳に届いているのです。
ところが、宇宙空間に出ると、状況はまったく異なります。
宇宙には音が存在しない。
たとえ目の前で宇宙船が爆発しても、巨大な岩同士がぶつかっても、「ドカン!」という音は一切聞こえません。
もし宇宙空間に1人取り残されても、どれほど大声で叫んでも、誰にもその声は届かないのです。
これは単なる“怖い話”ではなく、科学的な事実です。
そしてこの「音が聞こえない理由」には、私たちが普段あまり意識していない“音の正体”が関係しています。
音は“振動が空気を伝わる”ことでしか聞こえない
そもそも「音」とは、何なのでしょうか?
私たちが耳で感じる音は、物体が振動し、その振動が空気を伝って耳に届くことで生まれます。
例えば太鼓をたたいたとき、叩かれた面がブルブルと震えますよね。
その振動が周囲の空気を揺らし、波のように広がっていきます。
その波が私たちの耳に届き、鼓膜を揺らし、脳で“音”として認識されるわけです。
このように、音というのは空気(または水・金属などの“媒質”)がなければ伝わらない現象なのです。
真空の中では、振動はあってもそれを伝える物質が存在しないため、音が届くことはありません。
つまり、宇宙空間のような真空の世界では音は一切聞こえないというのは、科学的に当然のことなのです。
この事実は誰が発見したのか?
「音は空気の振動であり、真空では伝わらない」――
この事実が科学的に明らかになったのは、17世紀のことです。
まず最初に“音とは空気の振動である”という考えに近づいたのが、イタリアの天文学者・物理学者ガリレオ・ガリレイ(1564〜1642)です。
皆さん一度は聞いたことがある方かもしれませんね!
彼は、音叉(おんさ)や弦楽器の振動を観察する中で、音は空気中を波のように伝わるのではないかと推測しました。
当時の道具では完全な証明はできませんでしたが、「音は空気がなければ成り立たない現象ではないか」という仮説を打ち立てたのです。
この仮説を実験によって証明したのが、イギリスの科学者ロバート・ボイル(1627〜1691)です。
彼は真空ポンプを使って、ある有名な実験を行いました。
ボイルの真空ベル実験(1660年ごろ)
ガラスの容器の中にベル(鈴)を吊るし、音が鳴るようにします。
その後、容器の中の空気をポンプでどんどん抜いていき、真空に近づけていくと――
ベルが振動している様子は見えるのに、音がだんだん聞こえなくなっていくのです。
空気が完全に抜けきると、振動していても全く音が聞こえなくなる。
これによって、音は空気がなければ伝わらないことが証明されたのです。
宇宙では本当に“完全な静寂”なのか?
「宇宙=真空=音がない」とはいえ、宇宙のすべてが完全な真空というわけではありません。
惑星の大気層の中や、星の周辺にはごくわずかに粒子が存在し、それが音に似た振動を起こすこともあります。
たとえばNASAでは、木星の近くで探査機が観測した“プラズマ波(電気を帯びた粒子のゆらぎ)”をデータ化し、それを人間の可聴域の周波数に変換して「宇宙の音」として公開しています。
ただしこれはあくまで可視化・可聴化されたデータであって、本当に耳で聞こえるわけではありません。
実際の宇宙飛行士は、宇宙船の外では一切の“音”を聞くことができません。
ハンマーで金属を叩いても、爆発しても、音は空気のある宇宙服の中で自分にしか届かず、隣の仲間には聞こえません。
宇宙は、物理的にも、心理的にも、本当の静寂なのです。
まとめ:音のある世界は、実は“特別”だった
私たちは毎日、当たり前のように音に囲まれて暮らしています。
でもその音は、地球に空気があるからこそ聞こえるもの。
それは、地球という環境の中でしか成立しない“奇跡”なのです。
・音は空気などの媒質が必要である
・宇宙は真空なので、音は存在しない
・この事実は17世紀の実験によって科学的に証明された
・宇宙の“音”は、実際には音ではなくデータの変換にすぎない
地球では雷の音が響き、赤ちゃんの泣き声が聞こえ、友達と笑い合う声が耳に届きます。
でも宇宙では、そのすべてが“無音”。
なんだか怖いような気もしますが少しロマンチックにも感じますね!
このことを知るだけで、普段の音のある暮らしに、少しだけ“ありがたみ”を感じるかもしれません。
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