“ごほうび”が逆効果?内発的動機づけの心理学
こんにちは、福長塾の久保田です!
みなさんは、「テストで良い点を取ったら好きなものを買ってあげる」「宿題を全部終えたらゲームの時間!」といった“ごほうび”でやる気を引き出そうとした経験、ありませんか?
あるいは、おうちの方や先生からそのように励まされたこともあるかもしれませんね。
確かに、ごほうびをもらえると、一時的には「やらなきゃ」という気持ちになるものです。
でも実は、心理学の研究によると、この“ごほうび”が逆にやる気を下げてしまうことがあるのです。
「えっ、なんで?」と驚く方も多いと思います。
今回は、その理由と“やる気”を本当に引き出すヒントについて、心理学の視点からお伝えします。
目次
本当のやる気を支える「内発的動機づけ」とは?
私たちの“やる気”には大きく分けて2つの種類があります。
・「怒られるからやる」「褒められたいから頑張る」など、外からの刺激に反応して動くやる気(外発的動機づけ)
・「楽しいから」「もっと知りたいから」と、内側から自然に湧いてくるやる気(内発的動機づけ)
どちらも一時的には行動につながりますが、持続性や深さの点では、圧倒的に“内発的動機づけ”の方が強いことが、これまでの多くの研究でわかっています。
例えば、最初は「テストでいい点を取ったらゲーム!」という報酬でやっていた勉強も、いつしか「自分の理解が深まるのが楽しい」と感じられるようになると、報酬がなくても勉強を続けられるようになります。
この変化が“本当のやる気”です。
「アンダーマイニング効果」ってなに?
1970年代に心理学者のエドワード・デシとリチャード・ライアンが行った研究で、ある興味深い結果が示されました。
子どもたちに最初は楽しくパズルで遊んでもらい、その後に「完成したら報酬があるよ」と伝えたグループと、特に報酬なしで遊んでもらったグループに分けて、遊びの継続時間を調べたのです。
すると、報酬を与えられたグループの子どもたちは、後に報酬がなくなるとパズルに対する興味を失ってしまったのです。
この現象を「アンダーマイニング効果(やる気の掘り崩し)」と呼びます。
つまり、ごほうびが本来もっていた「自分で楽しんでやる」気持ちを壊してしまうことがあるということ。
このように、「内発的動機づけ」が「外発的動機づけ」にすり替わると、長期的なやる気を損なうことがあるんです。
自分からやりたくなる環境をどう作るか?
では、やる気を育てるにはどうしたら良いのでしょうか?
ここでも、デシとライアンの提唱した「自己決定理論」がヒントになります。
人は以下の3つの欲求が満たされたとき、内発的なやる気が高まると言われています:
・自律性(自分で決めたと思えること)
・有能感(できた!という達成感)
・関係性(周りの人とつながっていると感じること)
この理論をもとにすると、やる気を引き出すために大事なのは、
「やらされてる」と感じさせるのではなく、
「自分で選んでやっている」と思えるようなサポートをすること。
たとえば、
「よく頑張ったね!工夫してたね」
「難しい問題にチャレンジしてみたの、すごいよ!」
など、行動の背景や努力に目を向けた声かけが効果的です。
福長塾でも、「テストの点」だけでなく、日々の頑張りや姿勢に目を向け、できるだけ本人の「やりたい」気持ちを引き出すように指導をしています。
まとめ|“やらされる勉強”から“自分でやりたい勉強”へ
子どもたちのやる気を引き出すカギは、「やらせる」ことではなく、「気づかせる」こと。
「勉強って意外と楽しい」「やればできるかも」という気づきの積み重ねが、やがて内発的なやる気を育てます。
だからこそ、福長塾では「考える楽しさ」「できる嬉しさ」を伝える授業を心がけています。
自分で選んで学び、未来を切り拓く力を身につけてほしい――それが私たちの願いです。
ぜひ、体験授業で「学ぶって面白い!」という気持ちに出会ってみてくださいね。